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緑内障
トラベクレクトミー (線維柱帯切除術)

トラベクレクトミー(線維柱帯切除術)とは

国内も含め世界で最も多く行われている緑内障手術です。角膜の上端の所で線維柱帯、およびシュレム管を含む強膜の内層半分を切除することによって眼球壁に開口部を作り、眼内の房水(前房を充たしている透明な液体)(図矢印)を眼外の結膜下へ導きます。つまり人工的に眼外への流出路を作って眼内の余剰な水分を眼外へ導き眼圧を下げます。房水は一旦、結膜下に貯留しますので少し膨らんで見えます。これを濾過胞(ろかほう)と言います。

手術方法

  • 1. 麻酔:テノン嚢下麻酔(眼の皮下注)
  • 2. 結膜弁作成
  • 3. 強膜の内層、シュレム管、線維柱帯を含む眼球壁の一部を除去する。
  • 4. 虹彩の一部を切除する。
  • 5. 縫合する。

治療のリスク

下記のような合併症が現在までに報告されていますが、通常起きる可能性は低く、治療のメリットが上回ると判断されます。

代表的な合併症

【視力低下】

視力が多少低下することがあります。白内障が出現したり、元来ある白内障が進行したりするのが一因です。また、黄斑浮腫(網膜の中心が腫れる)によることもあります。また特に異常がないのに「かすみ」を感じる方もいます。

【前房出血】

術後、前房(角膜すぐ後方にある透明な液体で充たされた空間)中に出血することがあります。多くは数日で吸収されます。

【浅前房、前房消失】

これは一定の深さをもった前房が浅くなったり全く消失する状態で、前房という空間内の液体の流入と流出のバランスが一時的に崩れた結果です。また次に述べる脈絡膜剥離も一因となります。通常は1週間程で正常化しますが中には数週間かかる場合があります。

【脈絡膜剥離】

術後、眼圧が低くなると眼の奥の脈絡膜の血管から液体が漏出して、この膜が腫れて膨隆する状態を言います。これは高血圧や糖尿病等の全身状態とも関連しています。後方から眼の組織を圧迫するので上述した浅前房や前房消失の原因になります。通常は完全に吸収されますが2~3週間位かかります。

【感染症】

術直後の感染症は極めて稀です。ほぼ0と言っても良いと思います。当院では過去に一例も経験していません。しかし晩期感染症といって濾過胞(眼外の結膜下に創傷を通って流出した房水が作る結膜の水疱のこと。手術の良い結果を示す所見)が後に感染を起こす場合が統計的に1~2%あると言われています。

【濾過胞形成不全】

濾過胞が充分に形成されないことがあります。創傷治癒が良いと、組織が早めに癒着します。その結果、眼内から房水が漏れなくなる状態を言います。眼圧下降効果が悪くなります。この為、レーザーを使って縫合糸を早めに切ったりして眼圧を調整します。それでも濾過胞が形成されず、眼圧が下がらなければ、濾過胞再建術を行います。即ち癒着をはがして房水が再び流出するようにします。

全ての合併症を記載することは不可能で、また頻度も稀なものが多く正確な数値は不明なため、このリストは不完全です。

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