疾患・治療について

角膜疾患
角膜移植(全層角膜移植・角膜内皮移植)

角膜移植とは

角膜移植とは、『混濁した角膜』を切除し、アイバンクから提供された『透明な角膜(ドナー角膜と呼ぶ)』を移植する手術です。ドナー角膜は日本では提供者が少なく、申し込んでから1年、場合によっては2~3年待つこともありました。
当院ではこの問題を打破するためにアメリカのアイバンクからドナー角膜を輸入しています。これにより手術の予定日にドナー角膜を入手することが可能となりました。
近年多いのが角膜内皮代償不全(下注参照)によって起きてくる角膜の浮腫、混濁です。

また円錐角膜といって角膜が円錐状に尖って形を変える疾患も最終段階では角膜移植の対象となります。
他にも沢山の疾患がありますが、永続する混濁によって視力が低下した角膜疾患は全て角膜移植の対象となります。

■角膜内皮代償不全とは

角膜の裏側(眼内側)は一層の角膜内皮と言う細胞で覆われています。角膜に入ってくる水分を絶えずポンプ作用でくみ出して、水分の含有量を一定に保つことで、角膜の透明性が維持しています。
この細胞は年齢と共に減少し、極端に減少すると、ポンプ作用が不充分となり角膜に水が溜まり始め、角膜の表面に小さな水疱ができ、それが破裂すると異物感を生じます。
また、徐々に角膜の混濁が進むことで視力も低下します。
放置すると水疱は大きくなり破裂すると強い痛みを感じ混濁も増大し、視力が大幅に低下します。

角膜移植の種類

角膜組織の全層を移植する全層移植と一部の組織を移植する(角膜深層移植、角膜内皮移植)があります。下記を参照ください。

全層角膜移植

混濁した角膜中央を直径約7mmの円形に切除します。
アイバンクからの角膜を同じく直径7mmで切り取ってこれを縫い付けます。

■代表的な術中合併症

【駆遂性(くちくせい)出血】

眼底から強い出血が起きそのまま失明に至るというものです。
この駆遂性出血は角膜全層移植術ではもっと頻度が高く1,000人に1人と言われています。これが一旦起きればなすすべがない時が多く、殆どの場合失明します。
このリスクファクターは過去に手術した眼、高血圧、糖尿病、動脈硬化等です。特に高血圧は危険ですので充分な血圧のコントロールが必要となります。

■代表的な術中合併症

【縫合不全、前房形成不全】

時間経過と共に改善していく場合がほとんどですが、ごく稀に追加処置が必要となることがあります。拒絶反応は大抵術後1~2週間から数ヶ月後の間に起きますが、中には数年後に起きるものも稀にあります。
ステロイド等の免疫抑制剤を全身投与や眼に注射などで。治癒する場合もありますが、中には反応が強く、せっかくの角膜が混濁してしまう場合もあります。

角膜内皮移植(DSAEK) 

角膜の一番内側にある内皮細胞は、角膜の透明性を維持しており、疾患によりこの細胞が減少すると、本来透明であった角膜が混濁し(水疱性角膜症)、著しい視力低下を起こします。
以前は角膜全層移植が行われていましたが、近年、悪い部分の角膜内皮細胞だけを取り替える(角膜パーツ移植)、角膜内皮移植術が行われるようになりました。術後の(不正)乱視が生じにくく、裸眼視力向上が期待できる術式です。術後の乱視の発生が、前述の全層移植より少ないといわれています。

■代表的な合併症

【移植角膜内皮の剥離・脱落】

この手術の性格上、移植片を逢着することができません。移植片の下にガスを注入して、その浮力を利用して移植片と患者さん自身の角膜とを接着させますが、接着が弱いと脱落することがあり、再手術が必要となる場合があります。

【早期内皮損傷】

移植角膜の活力が弱いと、手術操作に耐えられず、角膜内皮細胞が充分に機能せず、角膜の透明性が回復しないことがあり、再手術が必要となります。
その他の合併症は全層角膜移植に準じます。

なお手術に起因する合併症を全て把握することは不可能なためリスクおよび併発症のリストは完全なものではありません。御不明な点がありましたら主治医にお尋ね下さい。

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